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2019.12.25

消費税転嫁対策特別措置法を解説!消費税の転嫁について知っておこう

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消費税の転嫁という言葉を知っていますか? 2019年10月からの消費税増税によって、消費税の転嫁拒否が問題になっています。消費税の仕組みや転嫁、消費税転嫁対策特別措置法について知っておきましょう。

========目次========
消費税の転嫁とは
増税による「買いたたき」の懸念
消費税転嫁対策特別措置法とは
①転嫁拒否行為の禁止
②消費税の転嫁を阻害する表示の禁止
③総額表示義務の特例
④転嫁カルテル・表示カルテルは独禁法の適用除外
フリーランスと消費税転嫁対策特別措置法
まとめ
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消費税の転嫁とは

消費税とは、世の中の消費一般に対して公正に課税される間接税です。

納税義務者は商品やサービスを販売する事業者とされていますが、事業者に課される消費税相当額はコストとして販売価格に織り込まれ、最終的には消費者が負担する仕組みになっています。そのため各事業者は、消費税を申告(納付)するのみで実際に負担することはありません。

●消費税を負担する人 = 消費者
●消費税を申告(納付)する人 = 各事業者

消費税が原材料製造業者、完成品製造業者、卸売業者、小売業者、消費者へと渡っていく(価格の一部として移転していく)ことを、税の転嫁といいます。これにより、生産や流通の過程で二重、三重に消費税が課されることのないようになっています。

増税による「買いたたき」の懸念

買いたたきとは、仕入先に本来支払われるべき金額よりも低い金額を不当に定め、仕入先に要求することをいいます。

消費税が8%から10%に増税となったことにより、事業者は、これまで108円で仕入れできていたものを110円で仕入れなければならなくなりました。消費税は公正に課税されるものなので、「仕入額が高くなってしまうから、これまで通りの108円でないと仕入れない」等の買いたたきにあたる行為(=消費税の転嫁拒否)をしてはいけません。

これは「消費税転嫁対策特別措置法」という法律で定められており、違反すると消費者庁から勧告及び指導を受けることになります。

この消費税転嫁対策特別措置法について、次でより詳しく解説しましょう。

消費税転嫁対策特別措置法とは

消費税転嫁対策特別措置法は、消費税増税に際し、消費税の転嫁拒否等の不当行為を取り締まり、円滑かつ適正に消費税の転嫁を確保する目的で定められました。次の4つの事項について、禁止事項や特別措置が設けられています。

 

①転嫁拒否行為の禁止

②消費税の転嫁を阻害する表示の禁止

③総額表示義務の特例

④転嫁カルテル・表示カルテルは独禁法の適用除外

①転嫁拒否行為の禁止

■減額……当初は仕入額を5,500円としていたのに、仕入先に対して理由もなく2,000円しか支払わない等、一度事業者間で取り決めた商品やサービスに対する金額を、後になって合理的な理由もなく減額するよう仕入先に要求する行為

■買いたたき……本来であれば税率10%の1,100円で仕入れをしなければならないところを、税率8%の1,080円でないと取引をしないとする等、税率引き上げ前の金額でないと取引を拒否する行為

■商品購入、役務利用、利益提供の要請……消費税分は支払うからこの商品を購入してほしいと要求する等、消費税の上乗せ額を支払うことを条件に、自社や関係者の商品・サービスを購入させる行為

■本体価格での交渉拒否……仕入先から税込みではなく本体価格での価格交渉をしたいと申し出があったにもかかわらず、税込み価格のみを用いて交渉を続ける等、事業者間で価格交渉を行う際、税抜き価格での交渉を拒否する行為

■報復行為……転嫁拒否行為を通報したことを理由に、取引を打ち切る等の不利益な取り扱いをする行為

 

②消費税の転嫁を阻害する表示の禁止

■「消費税はいただきません」「消費税還元セール」等、取引先の相手に消費税を転嫁していない(消費者が消費税を負担していない)かのような表示の禁止

■「増税分は値引きいたします」等、消費者が消費税を負担していないかのような表示の禁止

■「消費税相当額をキャッシュバックします」等、経済上の利益を消費税に関連して提供する旨の表示の禁止

 

③総額表示義務の特例

小売業者による価格表示については、従来から税込価格で表示することが義務付けられていますが、税込みと誤認されないようにしていれば、税抜価格による表示も認められています。

「1,500円(税抜価格)」「10,000円(税別)」「500円(+税)」等の表示は税込み価格と誤認されないとして、認められています。

 

④転嫁カルテル・表示カルテルは独禁法の適用除外

同業種の企業が商品・サービスの価格や生産数量等を共同で取り決めることを「カルテル」といいます。複数の企業がカルテルを結ぶと、質の競争が無くなり、また高い価格設定となってしまい消費者にとってデメリットとなるため、カルテルは独占禁止法によって禁止されています。

ただし消費税の転嫁においては例外。転嫁の方法(消費税額の上乗せ分を決定、生産端数の合理的な判断等)を決めるためのカルテルや、価格の表示方法を決めるためのカルテルは、事業者同士で行われても問題はありません。この場合、公正取引員会に届け出をする必要があります。

フリーランスと消費税転嫁対策特別措置法

消費税転嫁対策特別措置法では、買い手を「特定事業者」、売り手を「特定供給事業者」とし、特定事業者(買い手)への規制を定めています。

特定供給事業者(売り手)には個人事業主も含まれていますので、もしもクライアントから禁止されている事項の対応を受けたら、違反として通報することができます。相談先として、公正取引委員会 消費税転嫁対策調査室、中小企業庁 中小企業取引ホットライン、日本商工会議所 消費税価格転嫁対策支援等が設けられています。

 

2019年12月現在、違反した場合に与えられる特定の罰則等はありません。しかし違反行為があると認められた場合には消費者庁や公正取引委員会によって取り締まりがなされます。勧告に従わず独占禁止法に違反すると認められた場合には、独占禁止法に基づく排除措置命令や課徴金納付命令が下されることもあります。

 

公正取引委員会及び中小企業庁では、特定事業者(買い手)から禁止行為を受けていないかを把握し、行為を是正するための調査を定期的に行っています。回答する機会があれば、こちらで申告も可能です。

まとめ

商品・サービスの円滑な流通のため、消費税の転嫁は行われています。

消費税転嫁対策特別措置法によって禁止されている事項の対応を受けたら、そういうものと思わず、相談窓口に相談するようにしましょう。

またこれまで税込価格で取引していたにも関わらず、消費税転嫁対策特別措置法によって気づかぬうちに違反行為となってしまっている可能性があります。自身も、消費税転嫁対策特別措置法違反のないよう交渉の過程や価格表示方法を見直しましょう。

正しい知識を持つことで、いざというときにも安心です。

 

 

参考

●消費税転嫁対策特別措置法/消費者庁

●消費税転嫁対策コーナー/公正取引委員会

 

 

 

 

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フリマネ編集部
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