MONEY

2020.03.18

はじめての確定申告~事業主貸と事業主借について理解しよう~

※本ページはプロモーションが含まれています

 

 

「事業主貸」と「事業主借」という会計の考え方について、どこから貸した方がどっちだっけ? と混同してしまう方も多いと思います。そもそも事業主貸、事業主借って何? という方も、この記事を読めば安心。二つの違いや考え方について解説します。

========目次========
個人事業主独特の考え方「事業主勘定」
「事業主貸」「事業主借」とは
実際の仕訳、記帳の仕方
事業主勘定は年度を終えると「元入金」となる
まとめ
==================

個人事業主独特の考え方「事業主勘定」

個人事業主は、生活費が必要なときに事業用のお金を引き出したり、逆に事業で使用したいお金をプライベート用のお金から引き出したりすることがあると思います。法人の会計や給与のある会社員と違って、事業用のお金とプライベート用のお金、2つが混同しがちです。正確な事業所得金額を算出して所得税を納めるため、個人事業主の会計処理では、事業主としての会計とプライベートの自分としての会計、2つに分ける必要があります。そこで使用されるのが「事業主勘定」です。

 

事業主勘定では「事業主貸」と「事業主借」という2つの勘定科目が使用されます。

事業主勘定は個人事業主特有の考え方なので、法人の会計で使われることはありません。

「事業主貸」「事業主借」とは

事業主貸(じぎょうぬしかし)とは、個人事業主である自分から、プライベートの自分へお金を貸すことをいいます。事業主貸の支出は、必要経費とはなりません。

次のような支出があった場合、事業主貸として計上することになります。

 

<事業主貸となる例>

・事業用の口座から生活費を引き出した

・事業用のクレジットカードでプライベートの飲食代を支払った

・事業用の口座から、所得税や住民税等、個人の税金納付のためお金を引き出した

・事業用の口座から、国民健康保険料や国民年金保険料の支払いのためお金を引き出した

 

一方事業主借(じぎょうぬしかり)とは、事業主貸とは反対に、個人事業主である自分がプライベートの自分からお金を借りることをいいます。

次のような場合、事業主借として計上が必要です。

 

<事業主借となる例>

・プライベート用の口座から、事業用資金として事業用口座にお金を移した

・プライベート用のクレジットカードで必要経費を支払った

・事業用の口座に預金利息が入金された

 

上記の「事業用の口座に預金利息が入金された」場合ですが、これはプライベートの自分が利子所得を得て、それが事業主の自分へ渡ると考えるため、事業主借と仕訳されます。

実際の仕訳、記帳の仕方

青色申告特別控除65万円を受けたい場合は、複式簿記での帳簿付けが必要となるので、記帳の仕方を覚えておきましょう(青色申告特別控除10万円を受ける場合や白色申告の場合は簡易簿記となるので覚える必要はありません)。

 

複式簿記の記帳では、表の左が「借方(かりかた)」、表の右が「貸方(かしかた)」となります。そしてその左右の金額が一致している必要があります。事業主貸は借方(表の左)に、事業主借は貸方(表の右)にくるので、位置関係を間違えないよう注意しましょう。

 

実際に事業主貸、事業主借の会計があった際どのように記帳をすればよいのか、いくつかの例を挙げていきます。

①事業用の口座から生活費のために10万円引き出した場合(事業主貸)

②事業用クレジットカードでプライベートの飲食代5,000円を支払った場合(事業主貸)

③国民健康保険料3万円が事業用の口座から引き落とされた(事業主貸)

④プライベート用の口座から、事業用資金として20万円を事業用口座に移した場合(事業主借)

⑤プライベート用のクレジットカードで、必要経費2,000円を支払った(事業主借)

⑥事業用の口座に預金利息が150円入金された(事業主借)

事業主勘定は年度を終えると「元入金」となる

事業主貸と事業主借、2つの勘定科目が使用される事業主勘定ですが、年度を終えると相殺されて「元入金」として集約されます。元入金とは個人事業主の資本金のようなもので、年度が変わるごとに元入金も更新されていきます。

 

個人事業の収入から個人のものにたくさんお金を使ってしまうとその年度の元入金はマイナスに、個人のものにあまりお金を使わなければ元入金はプラスになります。

帳簿上、元入金はマイナスでも問題ありませんが年度を終えるごとに元入金がプラスとなっていく方が、事業の継続としては好ましいですね。

まとめ

●事業主勘定は、個人事業用のお金とプライベート用のお金が混同しないよう、管理するための勘定科目
●事業主貸=事業主の自分からプライベートの自分へ貸すもの(経費にならない)
●事業主借=事業主の自分がプライベートの自分から借りるもの(収入にならない)
●事業主貸は借方に、事業主借は貸方に帳簿付けする
●年度を終えると事業主貸と事業主借は相殺され、元入金となる

事業のお金とプライベートのお金、きちんと管理をしておけば、税務調査があった場合にも安心です。
自動で事業主勘定や元入金の計算をしてくれる会計ソフトもあります。心配な人は、こういったツールに頼ってみるのも良いでしょう。

 

 

 

 

投稿者プロフィール

フリマネ編集部
フリマネ編集部
フリーランスマネーハックは、フリーランスの方の保険やお金に関する情報を発信するフリーランス情報メディアです。フリーランスの保険や確定申告など、お役に立つ情報を発信していきます。